「ルードブレ市庁舎」をアルネヤコブセンが設計した際に手がけた時計シティーホール。アルネ・ヤコブセンは、デンマークが生んだ20世紀で最も影響力のある建築家兼デザイナーであり、今日のモダンな北欧デザインの原型を作り上げたデンマークデザインの父と呼ばれています。建築物、チェアー、照明、掛け時計など多くの名作を残した背景に、ヤコブセンのプロダクトデザイナーとしてのルーツを辿る“幻の作品”の存在がありました。1930年代後半、ヤコブセンはベラヴィスタ集合住宅をはじめとした大規模リゾートプロジェクトの成功をきっかけに、デンマーク最大手の電気機器製造会社「Lauritz Knudsen(ラウリッツ クヌーセン)」のテーブルクロックデザイナーに抜擢されました。大戦の影響もありわずかな期間で販売終了となったことから“幻のテーブルクロック”とも呼ばれているこのプロダクトは、それまで住宅設計を主としてきたヤコブセンにとっての転機となり、その後の歴史に残る数々のプロダクトデザインの幕開けになった作品と言えます。